奈良県『文化芸術』特集!第二弾!
子規の庭 保存会

池と石碑

子規の庭保存会 理事 中塚隆子さん

憧れの奈良を旅して名句を残した明治時代の俳人、正岡子規

10月26日が『柿の日』というのをご存知でしょうか?
柿の日は、近代文学に功績を残した俳人の正岡子規が1985年(明治28年)10月26日から数日間、憧れの地、奈良を観光して詠んだ俳句「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」にちなんで、ちょうど美味しい柿が出回る頃合いのこの日に制定されました。
それほど現代にも影響のある正岡子規。奈良観光では何を見て何を想ったのでしょうか。先述の有名な柿の句にゆかりの深い場所が、奈良市内に残されています。

子規が眺めた柿の木が今も残る、旅館跡地の「子規の庭」

子規の庭説明看板

奈良市にある日本料理店・天平倶楽部の敷地の一角にある「子規の庭(しきのにわ)」です。樹齢百数十年にもなるトヨカ柿の古木と、子規が好んだ日本的で素朴なおもむきの草花がそよぎ、庭の借景には東大寺大仏殿が見えます。
さり気ない造形のコントラストが季節ごとの風情を醸し出す落ち着いた庭園です。庭の中には「秋暮るゝ 奈良の旅籠や 柿の味」という子規の句碑があります。子規は奈良の旅館で大好きな柿を食べたようです。

この場所にはかつて、子規が奈良観光をした際に宿泊した老舗旅館の「対山楼(たいざんろう)」がありました。当時から存在するという柿の古木を守り、近代文学の発展に貢献した正岡子規の功績を後世に伝えようと2006年秋、古木の周辺を整備して「子規の庭」が作られました。
天平倶楽部の女将で子規の庭保存会理事の中塚隆子さんと、子規の庭保存会事務局長で「なら喜業家サロン」代表世話役も務める二宮和男さん。子規の庭創設に深く関わるお二人からお話を伺うことができました。

子規が愛した奈良の魅力を多くの人に伝えたい

――「子規の庭」を整備されたきっかけや庭の保存に携わって良かった事、苦労した事、この庭に寄せる想いを教えてください。

中塚さん:「子規の庭は、正岡子規という近代文学の心に触れる文化スポットとして、一般の皆様に常時公開しています(入場無料)。元々この場所には、子規が奈良旅行の際に宿泊した名旅館があり、東大寺や正倉院に近いため多くの著名人が宿泊されていました。」

――大河ドラマの主人公になった新島八重も宿泊したそうですね。

二宮さん:「子規が宿泊した時、宿の主人は有名な正岡子規が泊まっているとは気づいていなかったなどのユニークなエピソードがあります。それでも子規は宿で出された柿の味を大変気に入った様子でもあります。「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」の俳句はどのタイミングで構想したのか、何という種類の柿を食べたのか、句が作られた当時についての詳細には諸説があり、歴史のミステリーを考えるとさらに明治からの時を超えたロマンを深く感じます。」

――子規が泊まった当時からそこにあったと考えられる柿の木が「子規の庭」の中心にありますね。

中塚さん:「はい。その木を保護して残そうとしたのがきっかけでした。「子規の庭」の起ち上げには工事の日取りなど多くの苦労がありましたが、樹木医で造園家の正岡明さん(子規の妹・律の孫、正岡家の継承者)との不思議な出会いもあり、多くの方々の協力で庭が作られ、守られてきました。私はたまたまこの土地の持ち主なだけで、「子規の庭」はこの庭に関わる皆様のおかげがあって成り立っていると考えています。」

  • 子規の庭保存会 理事 中塚隆子さん
  • 子規の庭風景
  • 柿木

――俳句が好きな方や子規のファン、観光客や地元の人が自由に訪れられる場所ですね。

中塚さん:「なかでも修学旅行生に子規の話をして喜んで貰うと嬉しいですね。」

二宮さん:「修学旅行で感じたことは記憶に残るでしょうね!」

子規の庭のデザインコンセプトとこれまでの歩みや催しについて

「子規の庭」は、随筆「筆まかせ」の中で子規自らが書き記していた理想の庭園の計画案を元に “日本風の雅趣のある野生の草花が咲き乱れたるを最上とす” というデザインコンセプトで、樹木医で子規の子孫にあたる正岡明さんの手によって作庭されました。トヨカ柿の古木はもちろんそのままで木の周囲に子規が好んで句に詠んだ日本の草花が植えられました。その風景が新たな俳句の題材となって現代の名句誕生を促すようです。
2006年10月26日の庭の開園以降この場所では、「子規の庭俳句大賞」など俳句や子規にまつわる様々な企画が催されています。2007年8月に開催された“東大寺初夜の鐘に遠く明治の子規を想う夕べ”ではライトアップされた東大寺大仏殿を子規の庭の中から眺め、集まった人たちが琴や尺八の演奏と声明(しょうみょう)を聴きました。自然の虫の音も加わって演奏を盛り上げたそうです。

2015年9月19日には爽やかな秋晴れの中、今年で没後114年の子規を偲ぶ遠忌法要の「糸瓜忌(へちまき)」が、各地から訪れた俳句愛好家や庭の保存に関わる方たちに見守られて和やかに執り行われました。柿が色付きはじめトンボが飛び交う「子規の庭」で正岡明さんなどの挨拶を聞き、句碑の前に設置した祭壇に手を合わせました。この「糸瓜忌」の名は病床の子規が死の直前に書いた3つの句がヘチマを題材にしていたことに由来しています。

  • 筆まかせ
  • 糸瓜忌(へちまき)

『第14回 舞台は子規の庭』 のテーマは“子規の奈良旅行”!

正岡子規は結核という病を患っていても、とても明るく行動的な性格であったそうです。親友の夏目漱石に拾円を借りて奈良旅行に訪れ、4日間の行程で興福寺、東大寺、春日大社、般若寺、法華寺、西大寺、薬師寺、唐招提寺、法隆寺といった名立たる奈良の寺社と市街を見物して回り、「柿赤く 稲田みのれり 塀の内」「大仏の 足元に寝る 夜寒かな」「渋柿や あら壁つづく 奈良の町」など多くの俳句を作りました。子規が見たり感じたりした奈良の秋の光景が目に浮かぶようですね。

子規の奈良観光から今年でちょうど120年。「子規の庭」の開園からまもなく9年になります。トヨカ柿の古木の他に、8年前に庭園内に植樹された奈良県の隠れた銘品「御所柿(ごしょがき)」の木にも実がなっています。桃栗三年柿八年と言われるように柿の実が美味しく食べられるようになるには年数がかかりますが、そろそろ甘い実ができるころかもしれません。

今年の「柿の日」、2015年10月26日に天平倶楽部で行われるイベント『第14回 舞台は子規の庭』。今回の催しでは正岡明さんの講演「子規の奈良旅行」と堀井幸子講師による講演「笑う兄弟・子規と律」が行われるほか、奈良の名産・柿をデザートに食べるということです。

(2015年10月6日)

子規の庭 チラシ&リーフレット

GALLERY

女性の視点で奈良の未来やビジネスを考えるセミナー

もう1つ、中塚さんお勧めの催しを教えていただきました。

中塚さん:「11月5日に奈良市内で、奈良県生駒市出身の藤沢久美さんをお招きして開催するセミナー(講演会)を一般公開で行います。女性の視点で奈良に何ができるのか、どういうビジネスやそのサポートをすれば良いかの勉強会です。女性の起業家はもちろん、奈良県で働く全ての人、学生や主婦や男性の方も是非ご参加ください。広く色々な立場の方に一緒に考えて欲しいと思っています。参加費は無料です。」

――中塚さんは奈良商工会議所女性会の会長もされていますね。

中塚さん:「はい。奈良市の女性経営者の集会です。多業種交流で刺激しあい、人脈作りや勉強会を行っています。地域の発展のためにも、もっと若い世代の方にも入ってきて欲しいと思います。」

――本日はありがとうございました。

東京に出張して奈良県の観光誘致PRをするなど、精力的に活動されている中塚さん。
子規や多くの方とのご縁を想いながら、奈良の文化を次世代やその先へ末永く継承したいと話されていました。ベテランのみならず若手がどんどん参加して、“奈良力”の底上げになればと願います。

(2015年10月6日)

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